大阪から京都へ行くには三つのルートがある。
一つ目は、JR京都線(東海道本線)で大阪駅から京都駅へ行くルート。
二つ目は、阪急京都本線で梅田駅から河原町駅へ行くルート。
三つ目は、大阪駅(梅田駅)からは一つ駅違いになるが、京阪本線で淀屋橋駅から出町柳駅へ行くルート。
もう一つ、近鉄奈良線で大阪難波駅から大和西大寺駅へ行き、近鉄京都線に乗り換えて京都駅へ行くというルートもあるが、鉄ちゃん以外でそんな面倒くさいことをするヤツはいないだろう。
新幹線で新大阪駅から京都駅へ行くルートもあるって?
そんなブルジョアは無視することにする。
どんなルートを使うかは目的や行き先次第だが、僕は今日、行きは阪急、帰りはJRを利用するというルートを試した。
僕の場合はまず、天王寺駅から大阪駅(梅田駅)に行かなければならない。
それには地下鉄御堂筋線を使うのが一番手っ取り早いが、運賃が270円もかかってしまう。
そこへいくとJR環状線の場合は、やや時間がかかるとはいえ、190円で済み、かなりの割安感だ。
国鉄時代はベラボーに高かったのだが、JRになってからは私鉄よりもむしろ安くなっている。
JR西日本の初乗り運賃は120円、関西大手私鉄のそれは150円、大阪市営地下鉄は200円だ。
環状線に乗って天王寺駅から大阪駅に着く。
ホームだけ変えてそのまま京都線に乗ればいいのだが、行きは阪急を使うと決めたので、面倒くさいと思いつつもそのまま改札を出てしまった。
ちょっと歩いて阪急の梅田駅に着いた。
梅田駅から河原町駅までは390円。
僕が利用したのはその1駅前の烏丸駅だったが、運賃は同じだった。
それにしても、390円というのは思ったよりも安い。
そして帰り、JRの京都駅で運賃表を見ると、大阪駅まで540円。
阪急よりも150円も高い。
JRが安くなったのは近距離だけで、ちょっと距離が伸びるとこんなに高くなってしまうのか。
でも、僕の場合は天王寺駅までなので、通しの切符を買うと割安になるに違いない。
運賃表で、天王寺駅までの値段を見た。
もう、目ん玉が飛び出てしまった。
京都駅から天王寺駅まで、なんと890円だったのである。
どんな料金体系なんだ!?
京都駅から大阪駅までとの差額は、なんと350円。
大阪駅から天王寺駅までは190円だったのに、なんで通しの運賃では160円も高くなってしまうんだ?
普通なら、通しの運賃の方が安いはずである。
おさらいをすると、JR環状線で天王寺から大阪駅へ行くと190円、そこから阪急に乗り換えて河原町駅へ行くと390円で、合計580円。
ところがJRの京都駅から直接天王寺駅行きの切符を買うと890円で、前者よりも310円も高い。
やむなく僕は、JRの京都駅で大阪駅行きの540円の切符を買い、大阪駅で一旦改札を出て、さらに天王寺駅行きの190円の切符を買った。
実に面倒くさかったが、合計金額は730円で、通しの切符よりも160円も安かった。
どうやらJRになってから近距離サービスに重点を置き、運賃競争で私鉄に負けないように近距離運賃を安くしてしまった故に、こんな奇妙キテレツな運賃体系ができてしまったようだ。
国鉄時代より安くなったと思われるJRの運賃も、距離が延びるとそうでもないのかも知れない。
それでも、JRが私鉄を圧倒している部分がある。
それはスピードだ。
大阪―京都間で言えば、阪急や京阪に比べてJRがダントツで速い。
JRの新快速では、大阪駅から京都駅までの停車駅は、新大阪駅と高槻駅の二つしかない。
所要時間は僅か29分だ。
阪急特急(特急券不要の全席自由、通勤電車と変わらない)では、梅田駅から河原町駅までの停車駅は、十三駅、淡路駅、茨木市駅、高槻市駅、長岡天神駅、桂駅、烏丸駅と七つもある。
所要時間は44分と、JRの新快速よりも15分も遅い。
これのどこが特急なのかと思ってしまう。
JRの新快速に乗っていると、スピード感も全然違う。
JRのレール幅は狭軌(1067mm)、阪急は新幹線と同じ標準軌(1435mm)なのに、なんでJRの方が圧倒的に速いのだろう。
阪急電車の方がJRの電車よりも安定しているはずなのだから、もっとスピードを出してくれよ、とさえ思ってしまう。
帰りはJRの新快速で、行きの阪急特急とは全然違うスピード感を楽しんでいた。
新快速はなんて速いんだ、と感心していたら、新幹線と並走する地点に差し掛かった。
ちょうどその時、新幹線が後ろからやってきて、圧倒的スピードを誇るJRの新快速をあっという間に抜き去ってしまった。
これだけ速く感じる新快速でも、やはり新幹線には歯が立たないようだ。
うーむ、さすがスーパー・エキスプレスの呼称はダテじゃない。