今季のセ・パ交流戦、上位6チームが全てパ・リーグ、下位6チームが全てセ・リーグとなることが確定した。
パ・リーグのチームは全て勝ち越し、セ・リーグで一番順位が高い巨人のみ5割で、他のチームは全て負け越し。
6月15日現在、パ・リーグは81勝58敗4分でセ・リーグを全く寄せ付けない。
もしパ・リーグの会長がギレン・ザビだったら、
「ふふふ、圧倒的じゃないか、我がリーグは」
と、ほくそ笑んでいることだろう。
かつては「人気のセ、実力のパ」と言われていたが、今年の現象はそれとはかなり異なる。
昔は人気のなかったパ・リーグが、全国中継されるオールスター戦で張り切ってセ・リーグを圧倒していたが、現在の事情は全然違う。
現在では巨人戦ですら全国放送が大幅に減り「野球観戦は球場かCS」という考え方が一般的になって、セ・パの人気格差はなくなった。
いやむしろ、観客動員数でもパ・リーグの方が上回っているような気がする。
超満員の札幌ドームやヤフードームに比べると、横浜スタジアムや神宮球場のスタンド風景は目を覆うばかりだ。
今や「人気のパ、実力のパ」になってしまったのだろうか。
今季のセ・パ格差についてよく言われるのが、投手力の差だ。
パ・リーグにはダルビッシュ、岩隈、田中将大、涌井、岸、杉内というキラ星の如く燦然と輝く投手が目白押しだ。
それに比べるとセ・リーグの投手陣は品薄感が否めない。
それだけパ・リーグにはいい投手が集まったという証しだが、それだけでなくパ・リーグの投手はDH制で鍛えられているという。
パ・リーグの投手は相手打者が投手という「休憩所」がないだけに、常に勝負を強いられる。
しかも自分が代打に出されて降板、という場面がないために、完投意欲が増すのだそうだ。
これがパ・リーグに好投手が育つ原因だと言われている。
だが、交流戦でパ・リーグが有利なのはそれだけが原因ではない、という話を聞いた。
それは「移動距離の差」である。
セ・リーグは東京(巨人、ヤクルト)、横浜(横浜)、名古屋(中日)、大阪(阪神)、広島(広島)に本拠地を構えている。
これらの都市は全て新幹線で繋がっている。
しかも首都圏の三球団(巨人、ヤクルト、横浜)は、各々の試合では遠征する必要がない。
つまり、移動がかなり楽だと言える。
ところが、パ・リーグだとそうはいかない。
パ・リーグは札幌(日本ハム)、仙台(楽天)、埼玉(西武)、千葉(ロッテ)、大阪(オリックス)、福岡(ソフトバンク)と、見事に全国に散らばっている。
新幹線で移動できる路線もあるが、大方は飛行機移動を強いられる。
同じ首都圏の埼玉(所沢)と千葉ですら、直通の電車路線などない。
セ・リーグの選手には、全国を飛び回る交流戦での移動が相当堪えるらしい。
一方のパ・リーグの選手にとって、交流戦での移動など苦にもならないだろう。
全国に本拠地を分散させたことが、ファンの獲得のみならずレベルアップにも繋がった、ということか。