5月2日、甲子園で行われた阪神×巨人戦は、阪神が8対7で勝って巨人をスウィープ、単独首位に立った。
……とはいえ、ゲーム内容は両軍合わせて5失策、巨人の7得点の内、2得点は久保田の二つの暴投によるもの。
目に見えないエラーも多発して、4回の阪神の得点は、内海のまずい守備によって併殺が取れなかったもの。
7回の巨人の攻撃も、長野の三塁打は明らかにマートンのミスプレー。
グラブに当てながら落としてしまい、三塁打となって逆転を許すきっかけとなった。
首位攻防戦とは思えないお粗末なプレーの連続で、これでよくも「プロ野球でござい」と言えたものだ。
とはいえ、こんな荒れたゲームだからこそ、面白い記録も生まれた。
2対1で迎えた5回裏の阪神の攻撃、二つのエラーが絡んで阪神が1点を追加、巨人先発の内海は一死一、二塁で降板、久保がリリーフのマウンドに立った。
久保は四番の新井を三振に打ち取って二死、一、二塁。
ここで五番・城島にスリーランを浴びる。
つまり、久保は3点を奪われたわけだが、一、二塁の走者は内海が残したものなので、2失点は内海、1失点は久保ということになる。
問題は自責点である。
内海が残した走者には二つのエラーが絡んでおり、この二つのエラーがなければ既にスリーアウトになっていたはずなので、内海の2失点には自責点が付かない。
では、リリーフの久保はどうか。
この回、二つのエラーがなければスリーアウトでチェンジの場面で登板している。
久保は一死一、二塁で新井を三振に仕留めたものの、城島にホームランを浴びている。
内海が残した二人の走者に久保の責任はないが、城島のホームランによる失点は自責点が付く。
つまり、このケースで久保の自責点は1になるわけだ。
ところが、チームとしての自責点はどうなるか。
久保がリリーフ登板する前、二つのエラーによって既にスリーアウトになっているという解釈になるから、久保がいくら打たれようがチームの自責点とはならない。
ということは、久保が城島に打たれたホームランは久保自身の自責点とはなるが、巨人のチームとしての自責点とはならないのである。
投手個人の自責点の数と、チームの自責点は必ずしも一致しないものであり、したがって個人投手成績を集めた防御率と、チーム防御率が合わないことがあるのだ。