ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

独裁者

宇宙世紀0079年、ジオン公国が地球連邦政府に宣戦布告し、一年戦争と呼ばれる独立戦争が始まったことは国民諸君も世界史で習った通りだ。
泣く(79)子も黙るコロニー落とし、という語呂合わせで年号を覚えた受験生も多いだろう。


ジオン公国の公王はデギン・ソド・ザビである。
ジオン公国はザビ家による独裁国家だと言われるが、デギンが実権を握っていたのだろうか。
実際はそうではなく、ジオン公国を意のままに操っていたのはデギンの長男であるギレン・ザビだった。


では、独裁者たるギレンはどんな役職だったのだろうか。
実はギレンにはジオン公国軍の大将という肩書以外は特になく、主に「総帥」と呼ばれていた。
総帥という地位が政治的にどんな役割を果たしているのかはわからないが、事実上ギレンが国家を動かしていた。
ジオン公国議会はギレンが押さえていたし、政治の長であるはずのダルシア首相は傀儡のような存在だった。


ギレンはなぜ、独裁者になって地球連邦政府に対し独立戦争を挑んだのか?
ギレンには世界征服の野望があったのだろうか?
だが、そうでもないようだ。


かつて、地球人類を我が物にしようとした人物がいた。
中世紀に存在したドイツのアドルフ・ヒトラーである。
しかしヒトラーは、実際には一部を除くヨーロッパを制圧したに過ぎない。
ヨーロッパ最強の陸軍国であるフランスは降伏させたものの、イギリスを屈服させることはできないままソ連との泥沼の戦闘に突入し、アメリカまで巻き込んでボコボコにされてしまった。
ドイツにはイタリアや日本という協力国があったにも関わらず、この体たらくである。


それに比べると、ギレンは遥かに偉大だ。
ジオン公国は地球連邦に比べて30分の1以下の国力に過ぎなかったのに、開戦から僅か1ヵ月で地球連邦を降伏寸前まで追い込んだのだ。
捕虜になっていた地球連邦のレビル将軍が脱走に成功し、「ジオンに兵なし」と言って戦争継続を訴えたために降伏は幻となったが、もしこの脱走劇が無ければギレンは地球の総支配者になっていたのだ。
そう考えるとギレンにとってレビル将軍の脱走は悔やんでも悔やみきれないわけで、軍事上極めて重要な将軍をせっかく捕虜にしたのに、脱走を許したマヌケな輩は、間違いなく特A級戦犯だろう。


デギンはギレンのことを「ヒトラーの尻尾」と揶揄したが、どうしてどうして、征服した規模を考えるとギレンは尻尾どころか、ヒトラーの脳みそ五つ分ぐらいはありそうだ。
軍事的な階級で言えば、ギレンは前述したように最高位の大将、ヒトラーは伍長に過ぎない。
伍長とは下士官の最下位で、ヒトラーは士官どころか軍曹にすらなれなかったのである。
余談ながら、第二次世界大戦中にドイツと軍事同盟を結んでいた、日本の内閣総理大臣だった東條英機は、
「ヒトラーはたかが伍長、私は陸軍大将」
が口癖だった。


ではなぜ、ギレンは地球を支配したかったのだろう。
ヒトラーは、アーリア人こそが優良人種なので人類を支配すべきだ、という思想を持っていた。
ギレンも似た思想を持っているが、ちょっと違う気がする。
それではまず、ジオン公国の成り立ちから探ってみよう。


一年戦争開戦の21年前、宇宙世紀0058年に、サイド3が「ジオン共和国宣言」をする。
地球人口が膨大に膨らみ、宇宙移民が始まってから約60年後に、地球連邦政府の一員だった宇宙植民島(スペースコロニー)のサイド3が独立宣言を発したのである。
もちろん、地球連邦政府はサイド3の独立は認めなかった。


この「ジオン共和国宣言」をした人物こそが、ジオン・ズム・ダイクンである。
ジオン・ダイクンは宇宙移民者(スペース・ノイド)が人類変革の礎になると訴え、コロニーによる自治権を地球連邦政府に要求した。
ジオン・ダイクンによる人類変革とは、母なる地球を保護して人類は宇宙で暮らし、その結果「新人類(ニュータイプ)」が現れるというものである。
ニュータイプとは、誰もがわかり合える理想の人類、ということだ。
しかし、ジオン・ダイクンが理想とするニュータイプが出現したのは、殺し合いである戦争がもたらした結果というのは皮肉だったが……。


ジオン共和国宣言をしたジオン・ダイクンは自らが首相となった。
首相というのは国のトップではなく、上に国王や大統領などがいる場合の役職であるが、ジオン共和国にはジオン・ダイクン以上の指導者がいたとは考えにくい。
この時は独立宣言したものの、形態はまだ地球連邦政府の管理下だったので、敢えて首相と名乗ったのかも知れない。


この頃、ジオン・ダイクンの側近だったのがデギン・ザビで、平和革命を目指すハト派のジオンと、独立には武力もやむなしと考えるタカ派のデギンとは意見が合わず、やがてデギンによるジオン・ダイクンの暗殺事件が起きる。
ジオン・ダイクン死去後、0068年にデギンが二代目首相となり、翌年にジオン共和国はジオン公国と名称を変え、デギンが公王の座に就く。
ここからザビ家によるジオン公国独裁政治が始まるわけだ。
ちなみに、この頃に生まれたのがジオン・ダイクンの長男で、後にジオン公国軍のエース・パイロットとなるシャア・アズナブル(本名:キャスバル・レム・ダイクン)である。


その後、デギンは公王の座に座り続けたが、デギン以上のタカ派として台頭してきたのが長男のギレンである。
ギレンはジオン・ダイクンを暗殺した父親のデギンをどう思っていたのだろうか?
この点についてはハッキリはわからないが、どうやら肯定も否定もしていないようである。
ジオン・ダイクンの死によりザビ家の独裁が実行できるのなら、ギレンにとっては万々歳である。
だが、ギレンにとってジオン・ダイクンは敵ではなく、自らもジオン・ダイクンの革命運動に参加していたのだ。
つまり、ギレンはジオン・ダイクンを尊敬していたとしても不思議ではない。
それなら、ギレンはジオン・ダイクンを暗殺したデギンを憎むべきではないか。
父親だから憎む対象にはなれなかった、という見方もできるが、ギレンの行動を見ているとそれも当てはまらない。


そこには、ジオン・ダイクンが唱えた「人類変革論(ニュータイプ)」があった。
これをギレンは「優性人種生存説」とすり替えた。
「人類は優良種のみを残すことで、永遠の繁栄をもたらす」という理論である。
つまり、ジオン公国国民こそが優良人種で「ジオン国民が人類を管理・運営することによって、人類は生き永らえる」というものだ。
これはヒトラーの、アーリア人優良人種論と極めて似ている。
しかし、アーリア人とジオン国民では、決定的に違う面がある。


それは、アーリア人とジオン国民の歴史の差だ。
アーリア人は、何百年もかけて築き上げてきた民族だ。
それに対しジオン国民とは、宇宙世紀が始まって、最高でも80年足らずで生まれた国民に過ぎない。
サイド3の住民が僅か80年にも満たない期間で、優良民族になったとは考えにくい。
普通に考えれば、独自性を持つ民族性を身に付けるには、1000年近くの年月が必要だろう。
そうでなくても、サイド3とは地球からあらゆる人種が集まってきた移民なのだから、民族性云々は言えないだろう。
ただ、「ジオン訛り」というのは存在するようで、地球から遠く離れた月の裏側のサイドでは、方言も生まれるのだろうか。


ではなぜ、ギレンはジオン国国民を「優良人種」と言い切ったのだろうか。
結論から言えば、ギレンはそんな考えは毛頭もなく、単に国威発揚のための詭弁だろう。
そもそも、ギレンにとってジオン・ダイクンが唱えたニュータイプなど、全く信じていなかった。
ただ、国威発揚として宣伝になる、と判断しただけである。
ギレンにとってニュータイプなど、国民を愚弄するための方便としか捉えていなかったのだろう。
大戦の後期になってニュータイプの存在も認めたようだが、それでもジオン・ダイクンが提唱した人類変革論とは程遠く、単に戦争の道具として利用しようとしたに過ぎない。


それでは本題に戻って、ギレン・ザビはなぜ独裁者になってまで地球連邦に戦争を仕掛けたのか?
気ままな独裁者でいたいのならば、わざわざ莫大な資金力を持つ地球連邦に対して、戦争を仕掛ける必要もないはずである。
地球を支配するという、大いなる野望があったのかも知れないが、実行するにはあまりにもリスクが大きすぎる。


そこで大胆に推理してしまうが、ギレンは本当に人類存続を憂い、自らが人類を率いなければならない、という使命感に燃えたのではないか。
デギンがギレンに対し、
「この戦争に勝って、どうするつもりだ」
と問うと、ギレンは
「せっかく減った人口です。これ以上増やさぬように努力するだけです」
と答えた。
つまり、ギレンは無駄な人間は排除されるべきで、有能な人間のみが生き延びるべきである、と訴えているのである。


ギレンは地球連邦政府の無能な官僚組織が、無秩序な人口増加を生み出し、今次大戦のような人類による共食いを生んだ、と考えた。
地球連邦政府のような絶対民主制では、愚弄な民を生み出すだけである、と。
それで優良種たるジオン国国民が人類をコントロールしてこそ、人類は永遠に生き延びられる、とギレンは演説しているが、彼が本当にそう考えていたとは思えない。
要するに、ギレンは自分自身しか人類を救える人間はいない、と考えているようなのである。
悪く言えばうぬぼれ屋、良く言えば、自分以外に人類を導く人物はいない、という責任感だ。


ギレンはおそらく、他人に任せることなどできない性格だったのだろう。
つまり、自分がやらなければ周りの人が困ってしまう、という使命感である。
要するに、他人を信用できないのだ。


それは、ギレンの知能指数に関係があると思われる。
ギレンの知能指数は、なんとIQ240。
これはもう、オバケIQと言っても過言ではない。
稀にIQ200を超える人物はいるが、それは10歳以下の児童がほとんどである。
IQテストの性格上、児童で異常に高い知能指数が生まれることは多々ある。
しかし、成人で知能指数IQ200を超えることは絶対にない。
どれだけ高くても、IQ160までだ。
ちなみに、東大生の知能指数はIQ120程度である。
つまり、ギレンは東大生の二倍の知能指数を誇っているわけだ。


IQ240の人物が全権を握るとどうなるか、火を見るより明らかだ。
IQ240の人間にとっては、他人はアホに見えてしょうがないに違いない。
もう他人のアホに、任せてはいられないのである。
周りはアホばっかりなのだから、自分が全てを賄わなければならない。
要するに、アホに任せるわけにはいかないので、全ての責任は自分が負わなければならない、とギレンは考えたのではないか。


ギレンにとって地球連邦政府の官僚どもなど、怠惰が生んだ無能で軟弱な奴らに過ぎないのだから、IQ240のギレンは正義感に燃え、連邦の官僚組織を叩き潰すべく自らが指導しようとしたとも考えられる。
そう考えると、ギレンは私利私欲ではなく、真剣に人類の未来を考えていたのではないか。
アホに任せて人類が滅亡するぐらいなら、自らが悪役を買って出て人類を救おうという発想である。
ギレンから見れば、弟のドズルやガルマはもちろん(?)、父のデギンや妹のキシリアすらアホに見えたに違いない。


そんなギレンが唯一認めた人物こそ、ジオン・ダイクンだったのではないか。
ジオン・ダイクンが唱えたニュータイプの発生など、若かりし頃のギレンには想像もつかなかっただろう。
ギレンにとって、自分では考え付かない発想をする唯一の人物が、ジオン・ダイクンだったのだ。


ただし、ギレンが大人になって自らが指導者になると、ニュータイプなど出てきやしない。
やはりジオン・ダイクンが唱えた人類変革など理想論に過ぎなかったのかと悟ってしまった。
ギレンは現実路線を突き進み、最も有能な自分が人類をコントロールする以外に、人類が生き延びる道はない、と考えたのである。


ただ、ギレンの最大の誤算は、アホが考えることを理解できなかったことだ。
ギレンは天才すぎるゆえ、アホの気持ちがわからない。
ここで言うアホとは、本当のアホではなく、普通では有能である人物でもギレンから見ればアホ、という意味である。
なにしろギレンはしつこく言うようにIQ240なのだから、東大を首席で卒業したような秀才でもアホに見える。


これがギレンにとって最大の悲劇を生んだ。
まさか妹のキシリアが、自分を殺すなど考えてもみなかったのである。
キシリアが自分に対し良い感情を持っていないことぐらいはギレンも感じていただろうが、自分を殺すとまでは思ってもみなかったようだ。
そのため、キシリアが自分に銃口を向けても、
「冗談はよせ」
と意に介さない態度で答えている。


キシリアがギレンを殺したのは、ジオン公国の最終防衛ラインであるア・バオア・クーでの戦闘中だった。
言わば今次大戦における最高最大の天王山である。
そんな重要な戦闘中に、まさか身内のキシリアが最高指揮官であるギレン自身をを殺すことなど、全く考えていなかったのではないか。
そうでなくてもキシリアは、父のデギンから実権を奪う時に協力した仲間である。
協力し合った者同士が権力を強奪した後、やがて政権を奪い合うのは世の常であるが、重要な戦闘中に最高指揮官を殺すことなど有り得ない。


キシリアがギレンを殺害した理由は「ギレンが父(デギン)を殺したから」と言っているが、それを戦闘中に行ってもいいわけがない。
たしかにギレンは父親のデギンを殺したのは事実だが、ギレンはデギンだけを殺したわけではなく、超兵器のソーラ・レイを使って地球連邦軍の主力部隊を一気に壊滅させたのである。
和平工作を企てたデギンを殺す目的もあったのだが、軍事的な側面から見ると、連邦軍の主力3分の1を一気に消滅させることができたのだから、作戦は成功したとみて良かろう。
さらに、地球連邦軍の最高指揮官であるレビル将軍まで戦死させたのだから、敵の指揮系統が乱れて、一気に勝利を手にすることも可能である。
もっとも、地球連邦軍は降伏を拒み、残存兵力でア・バオア・クーの突破に成功するのだが……。


しかしキシリアは、父殺しを口実としてギレンを殺害した。
こんなこと、ギレンには考えられなかったことだろう。
キシリアが父を悼んでギレンを殺したわけではなく、ギレンから政権を奪う目的だったのは明らかだが、あまりにも軽率な行動だった。
事実、ギレンを失ったことで指揮系統は乱れ、ジオン公国軍は敗北せざるを得なかったのである。
そしてキシリア自身は、ジオン・ダイクンの息子であるシャアの手によって殺害されてしまった。


この結末は、ギレンにとって心外だっただろう。
ジオン公国にとって最も重要な戦いであるア・バオア・クーでの戦闘が、最高指揮官であるギレン、キシリア共に敵ではなく身内に殺されたのである。
ア・バオア・クーの戦闘が行われたのは宇宙世紀0079年12月31日。
大晦日の僅か1日でギレンとキシリアというジオン公国最重要人物が二人も死んで、ザビ家は滅亡してしまった。
年越しそばを食うヒマもなく。


翌日の宇宙世紀0080年1月1日、地球連邦政府とジオン共和国臨時政府の間に、終戦協定が結ばれた。
主を失ったジオン共和国にとって、事実上の敗戦である。
一年前までは栄華を誇ったザビ家が、お屠蘇を呑むこともできず、全員が戦死してしまった。


ジオン精舎の鐘の声
ソーラ・レイの光りあり
モビルスーツの体の色
盛者必衰の理をあらわす
奢れるザビ家も久しからず
ニュータイプの夢の如し
猛き者もついには滅びぬ
ひとえに宇宙の前の塵に同じ


ザビ家物語