先日、mixiで「マンガの中で博士キャラはなぜ『○○じゃよ』という話し方をするのか」という内容の日記を書いていたマイミクがいた。
この方によると、こういう言葉を「役割語」というのだそうだ。
そういえば、テレビで外国人が喋っているときは
「♂ どうして○○なんだい?」
「♂ つまり○○なのさ」
「♀ 私は○○だと思うわ」
と、日本人が使わなくなったような話し言葉をアテレコする。
これも役割語のひとつだろうか。
話し言葉とは少し違うが、マンガでタクシーを拾う時、手を挙げて大声で「タクシー!」と叫ぶのはなぜだろう。
手を挙げるだけでタクシーを拾う意思があるのは運ちゃんには充分にわかるし、大体いちいち「タクシー!」なんて叫んでも恐らく運ちゃんには聞こえないだろう。
むしろ街中で「タクシー!」なんて大声を張り上げるのは、かなり恥ずかしい行為ではないか。
僕は街中で「タクシー!」と叫んでいる人を見たことがない。
マンガに登場する関西人は大抵、自分のことを「ワイ」という一人称を使って呼ぶ。
「ドカベン」に登場する岩鬼(ただし、岩鬼は生粋の神奈川県人)、「あしたのジョー」のマンモス西、「キャプテン」の近藤、みんなそうだ。
しかし僕は大阪に生まれ育って(現在はネターランド王国を建国したが)、一度も自分のことを「ワイ」と呼ぶ人物に遭遇したことがないのである。
では、登場人物が大阪人オンパレードのマンガ「じゃリン子チエ」ではどうか。
さぞかし「ワイ」が飛び交っているのかと思いきや、「じゃリン子チエ」で自分のことを「ワイ」という人物が思い当たらない。
ほとんどが「ワシ」と呼んでいる。
ちなみに、自分のことを「ワシ」と呼ぶキャラを列挙してみると、
テツ(たまに「ボ、ボク、竹本テツです」と言うこともあるが)、おジィ、小鉄(猫だけど)、花井拳骨、お好み焼屋、カルメラ兄弟、勘九郎、コケザル、レイモンド飛田(たまに「ミー」と言う)、大多数のヤクザ
といったところだろうか。
中には「オレ」という者もいて、ミツル、マサル、タカシ、ジュニア(猫)といったところか。
珍しいところでは「僕」というキャラで、花井渉とマルタが当てはまる。
花井渉の場合は、大阪生まれだが東京暮らしが長かったせいか、標準語で喋る珍しいキャラである。
いずれにせよ、大阪弁が乱れ飛ぶマンガで「ワイ」が使われていないということは、大阪で「ワイ」という一人称は一般的ではないという表れとも言える。
ちなみに、自分のことを「おいどん」と呼ぶ薩摩っぽはほとんどいないそうだ。