今日は女子サッカーのなでしこリーグ、INACレオネッサ×TASAKIペルーレ戦を観てきた。
もちろん、なでしこリーグ観戦は初めてである。
サッカーすらあまり観たことがない僕がなぜ女子サッカーを観ることになったのか?
そのきっかけは過去の日記を参照されたい。↓
http://d.hatena.ne.jp/aigawa2007/20081014/1224010256
場所は兵庫県洲本市のアスパ五色という球技場で行われた。
洲本市、と聞いてピンと来る方がいるだろう。
そう、兵庫県と言っても淡路島のことである。
洲本市といえば淡路島の中心都市だが、かなり南の方にある。
洲本市街は洲本港のある東海岸になるが、アスパ五色があるのは元々は五色町と呼ばれていた場所で、西海岸にある。
それが平成の大合併で洲本市に吸収されたわけだ。
いずれにしても、本州から見れば立派な海外である。
大阪南東部から北西に向かい、神戸を経由して再び南下。
明石海峡大橋を渡るとそこは淡路島だが、そこからがまた長い。
淡路島の北端から五色まで50km位はあるだろうか。
僕は高速道路が嫌いである。
料金がかかるからか?と言われるかも知れないがそうではない(それも多少あるけど)。
どこぞの国の首相が高速道路を一律千円にすると言っていたが、たとえそうなったとしても、よほど遠くない限り、そして時間が許す限り、一般道を使うだろう。
なぜなら、高速道路はあまりにも味気ないからである。
単調な景色がずっと続き、退屈なことこの上ない。
一般道の信号待ちや渋滞も嫌いだが、それさえなければ変化に富んでいて、ハンドルを握るのも楽しい。
したがって、今日もできるだけ高速道路は使わないようにしようと、早めに家を出た。
大阪府内をずっと北上し、兵庫県内に入ると渋滞が目立ってきた。
何しろ三連休の中日である。
神戸に近づくにつれ交通量が増し、このままでは試合に間に合わないと思い、やむなく神戸市に入ったあたりから阪神高速に乗った。
明石大橋を渡るにはどのみち高速道路に乗らなければならない。
明石大橋を過ぎて淡路島に入ると、本当はそこから一般道を走りたかったのだが、時間の都合上、そのまま高速道路で五色を目指すことに。
神戸淡路鳴門自動車道は空いていたので、あっという間に淡路島南西部の西淡三原インターに着き、ここで高速道路を降りた。
アスパ五色を目指すとともに、時間に余裕ができたので腹ごしらえをするところを探した。
すると、アスパ五色の近くにドライブインがあった。
ドライブイン、という懐かしい響きが泣かせる。
お昼時だというのに、軽トラ他1台が停まっているだけで、客がいる様子がない。
ホントに営業しているのかな?と、恐る恐る中に入ってみると、子供たちがご飯を食べていて、他に客はいない。
その子供たちも、どうやら店のおばちゃんの知り合いの子供らしい。
つまり客ではなく、お昼ごはんをよばれているのだろう。
それでも一応営業はしているらしく、そのまま踵を返すわけにもいかないので、そこで昼食を摂ることにした。
このドライブインは五色浜に面していて、夏は海水浴客で賑わっているのだろう(そう信じたい)。
店の前の景色は絶景である。
淡路島の西側なので、この海は瀬戸内海だ。
腹ごしらえを済ませ、アスパ五色を目指した。
かなり山の手に入って行き、ハッキリ言うとヘンピなところにアスパ五色があった。
スタンドも申し訳程度でしかなく、ここで全国リーグの公式戦が行われているのが不思議なくらいだ。
ただし、芝生の手入れは見事に行き届いており、地方自治体レベルでこの芝生を維持するのは並大抵のことではないだろう。
なお、日本で行われたワールドカップでベッカム擁するイングランドは淡路島でキャンプを張ったが、それはアスパ五色ではない。
入場料は無料で、観客数は300人ぐらいだろうか、それでも場所柄を考えると仕方がない。
両チームとも神戸市を本拠地にしているが、この試合はTASAKIのホームゲームらしく、ファンもTASAKIの方が圧倒的に多く、応援団まで繰り出していた。
それだけではなく、TASAKIは強豪チームだが、母体の田崎真珠の業績悪化により、今季限りで休部になるので、多くのファンが集まっているのだろう。
企業チームの厳しい実態でもある。
一方のINACはアウェーということもあってかいささか地味で、それでもチームのグッズを売っていたりした。
そして、こういう球技場では選手がすぐ間近に見られるという利点もある。
試合が始まった。
ホームのTASAKIがピンク、INACが白のユニフォームで、黒いユニフォームのレフェリー、タッチジャッジも共に女性である。
しかし、監督は両チームとも男性で、TASAKIの監督はジャージ姿だったが、この前カンスポでお会いしたINACの田渕監督は紺のスーツにネクタイと、見ているだけで暑くなるような姿だった。
両監督とも時々ベンチを出て戦況を見守り、時には大声で選手たちに指示を与えていた。
ラグビーでは見られない光景に、新鮮な感じがする。
試合開始早々、TASAKIが先制点を挙げ、さらに中盤には1点を追加して、INACは前半は苦しい展開。
敵陣には攻め込むが、なかなかシュートのチャンスがない。
しかし後半、硬さが取れて動きが良くなり、FWの川澄奈穂美選手のゴールで1点を返した。
1点差になって両チームの動きが激しくなり、イエローカードまで飛び出して女子とは思えぬ(?)エキサイトシーンも。
だが、INACの猛追もここまで。
2−1でTASAKIが逃げ切り、神戸ダービーを制した。
そしてこの試合がTASAKIにとってアスパ五色でのラストゲームだったらしく、試合終了後、地元のサッカー少年少女たちから花束贈呈があった。
前の日記にも書いたように女子サッカーの取り巻く環境は決して恵まれてはいないが、それでもビジネスチャンスがないわけではない。
確かにレベル的には男子サッカーには敵わないが、だからと言って人気が出ないとは限らない。
たとえば、バレーボールは明らかに男子の方がレベルが高いが、人気があるのは女子の方だ。
これにはいろいろ理由があって、その一つに女子の方が男子より日本代表の成績が良い、というのもある。
それが理由なら実に単純だが、それだけではないだろう。
男子と女子ではスパイクの迫力は断然男子の方が上だ。
でも、皮肉なことに、それがかえって女子バレーを面白くしている要因になっている。
スパイクの実力差は歴然だが、レシーブでは男女の差はあまりない。
つまり、女子のスパイクは男子ほど強烈ではないのでレシーブし易く、それが果てしないラリーとなってゲームが白熱するのだ。
男子の試合だと、一発でスパイクが決まってしまうので、あっけない印象がある。
だからと言って男子の試合がつまらないわけではないが、手に汗握るレシーブの応酬がある女子の方が人気がある原因なのかも知れない。
サッカーでも、男子にはない女子の面白さを見せればいいのだ。
たとえば、シュートの強烈さは男子には敵わないが、細かいテクニックに男女の差はないはず。
むしろ小さな体を活かした技や戦術を身につければよい。
かつてラグビー日本代表の監督だった平尾誠二は「体の小さい日本人はラグビーの基本である『グラウンドを大きく使う』という戦術には向いていない。むしろ『グラウンドを小さく、たくさん使う』という戦術の方が良いのではないか」と言っていた。
平尾ジャパンは残念ながら結果を残せなかったが、それでも女子サッカーがまさにこれに当てはまるのではないか。
男子にはない魅力を身に付けた時、女子サッカーの未来は拓けるだろう。
そうでなくても、バレーボールのように男子の日本代表よりも、なでしこジャパンの方が世界の上位に立つ可能性が大きいのだから。
アスパ五色を後にした頃、陽はかなり西に傾いていた。
もう時間を気にすることはないので、淡路島を一般道で突っ切ろうと思った。
しばらくは西海岸の淡路サンセットラインを走り、そこから東に針路を変え、淡路島中央の山間部を横断し、東海岸沿いの国道28号線に出た。
以前、徳島の鳴門に行ったときは神戸淡路鳴門自動車道を縦断したが、本格的に淡路島の一般道を走るのは初めてだ。
小学生の時、旅行で洲本に来たことがあったが、当時は当然のことながら明石海峡大橋も大鳴門橋もなく、フェリーで大阪から洲本に出た。
国道28号線はずっと海岸沿いを走り、もちろん海もずっと見えている。
その風景は宮崎県の日南海岸沿いを彷彿させる。
同じ関西にこんな絶景があるなんて、今まで知らなかったことを後悔したくらいだ。
断言する。
もし淡路島に遊びに来ることがあるなら、少々時間がかかっても高速道路は使わず、一般道を走るべきだ。
せっかく淡路島に来て、少しの時間を惜しんでこの情緒的な海岸風景を見ないのは実にもったいない。
神戸淡路鳴門自動車道は実に殺風景で、時間の短縮には役に立つが、金もかかるしせっかくのドライブが台無しである。
今日は少ししか走らなかったが、今度来た時には西海岸の淡路サンセットラインを縦断しようと思う。
こちらはその名の通り、夕方に走るのがいいかも知れない。
そうは言っても、明石大橋を渡るには高速道路に乗らなくてはいけない。
北端に近い東浦インターから高速道路に乗り、今日二度目の明石大橋を渡った。
神戸に入った頃には日も暮れて、今から一般道に降りるのも面倒くさくなり、そのまま高速道路で帰ることにした。
ところが、三連休の中日のうえに、山陽道で事故があったせいか阪神高速も大渋滞になり、さらに工事渋滞も重なって、高い高速料金を払いながら家に辿り着いたのは8時近くになってしまった。
本当に、高速道路が大嫌いである。