今日、北京五輪野球アジア予選第三日が台湾の台中インターコンチネンタルスタジアムで開催され、日本が台湾を10−2で倒し、3勝0敗で北京五輪出場を決めた。
点差だけを見ると日本の楽勝、大勝に見えるが、実際の試合は実に厳しいものだった。
1回表、二死三塁のチャンスから日本の四番・新井が死球で出塁。
と思われたが、なんとファールの判定。
昨日の韓国戦では、韓国の打者が明らかに当たりにいっている投球を死球と判定されていた。
メンバー表偽装(と、朝鮮日報では伝えていた)に続く、国際試合での思わぬ判定である。
国際試合に慣れていない日本のプロ野球人は、なにが起こるかわからない国際試合をもっと勉強するべきであろう。
1−0で日本リードのまま試合は中盤まで進んだが、6回裏にダルビッシュがまさかの逆転2ランを浴びてしまう。
嫌なムードが流れた7回表、無死一、二塁のチャンスを掴み、二塁ランナーは代走のキャプテン・宮本。
ここで里崎はミエミエの送りバントを敢行したが、投手前で三塁封殺の予感。
台湾の投手は三塁に送球したが、宮本の足が一瞬早くオールセーフ。
日本は無死満塁と絶好の逆転チャンスを迎えた。
この宮本の走塁について、ヤクルトの監督を辞任したばかりの古田が見事な解説をしていた。
「あれは宮本が、あまりいいバントではなかったのでダブルプレーだけは防ごうと、三塁手の足を引っ掛けにいったのですよ。確実にセーフなら、三塁手の足を狙ったりはしません。際どいタイミングだったので、イチかバチかのスライディングだったと思います」
本当の解説とはこういうことを言うのだろう。
素人ではわからないプレーを、見事に説明してくれる。
古田はまだプロの解説者ではないが、その辺の解説者よりも、よっぽどまともな解説をしていると言える。
いずれにしても、宮本は今日の試合でのMVPだ。
この宮本の走塁がなければ、試合はもっともつれていたかも知れない。
そしてその後の、サブローのスクイズには驚いた。
無死満塁で、勝負強いサブローのスクイズは、普通は考えられない。
台湾バッテリーも全く無警戒だった。
僕はスクイズが嫌いなので、もし監督だったらこの場面でスクイズのサインは絶対に出せないのだが、それでもこの作戦は見事だった。
点差を拡げて日本打線にも余裕が出て、得意の連打がでたのだろう。
この作戦も、ディフェンス面を考えれば、ダルビッシュの後は球児、上原、岩瀬、さらに憲伸と磐石の布陣が整っていたので、リードさえ奪えていれば楽な試合運びができるという計算があったのだろうが。
いずれにしても星野監督にとっては、してやったり、という気分だろう。
結局その後、日本打線は新井のホームランなどで爆発し、「きゅうじ、こうじ」の球児、上原リレーでアジア予選3連勝で北京切符を手に入れた。
来年夏のプロ野球ペナントレースは、北京五輪を視野に入れてのシーズン日程を余儀なくされるだろう。