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安威川敏樹のネターランド王国

お前はチョーマイヨミか!?

ネターランド王国憲法

第1条 本国の国名を「ネターランド王国(英名:Kingdom of the Neterlands)」と言う。
第2条 本国の国王は「禁句゛(=きんぐ)、戒名:安威川敏樹」とする。
第3条 本国は国王が行政・立法・司法の三権を司る、絶対王制国家である。
第4条 本国の公用語は日本語とする。それ以外の言語は国王が理解できないため使用禁止。
第5条 本国唯一の立法機関は「日記」なる国会で、国王が一方的に発言する。
第6条 本国の国民は国会での「コメント」で発言することができる。
第7条 「コメント」で、国王に不利益な発言をすると言論弾圧を行うこともある。
第8条 「コメント」で誹謗・中傷などがあった場合は、国王の独断で強制国外退去に踏み切る場合がある。
第9条 本国の国歌は「ネタおろし」とする(歌詞はid:aigawa2007の「ユーザー名」に記載)。
第10条 本国と国交のある国は「貿易国」に登録される。
第11条 本国の文章や写真を国王に無断で転載してはならない。
第12条 その他、上記以外のややこしいことが起きれば、国王が独断で決めることができる。

もはや死に体

このことについてはいろいろな人が書いているし、今さら書くのもよそうかとも思ったが、やはり触れないわけにはいかない。
そう、大相撲時津風部屋リンチ死亡事件である。


名古屋場所直前の今年6月26日、時津風部屋の序の口力士・時太山(本名:斉藤俊さん、当時17歳)が稽古中に倒れ、救急車で病院に搬送されたが、そのまま息を引き取った。
愛知県警は当初、事件性はないとして司法解剖を行わなかったが、3ヶ月たった9月下旬に愛知県警が時津風親方による傷害致死事件として捜査していたことが発覚した。
なぜ愛知県警が事件として動き出したのか?
それは時太山の遺族が愛知県警に行政解剖を依頼し、そこで遺体に無数の傷跡や骨折、タバコの火の跡が発見されたという。
そこで愛知県警は時津風親方時津風部屋の力士に対して事情聴取を行った。
そして、そこに出てきたのは実に恐るべき事実だった。


時津風親方は何度か脱走を試みた時太山に腹を立て、夕食後にビール瓶で時太山を5,6発殴り、さらに他の力士たちに「お前らもかわいがってやれ!」と命じたという。
「かわいがり」とは相撲界の隠語で制裁に近い猛稽古をつけることだが、この場面で「かわいがってやれ!」ではまるでヤクザの脅しに聞こえる。
その晩、時太山は兄弟子たちに金属バットを使った殴る蹴るの暴行を受け、翌朝の稽古には出てこなかった。
そこで兄弟子たちは時太山を稽古場まで無理やり連れてきて、今度は長時間のぶつかり稽古を行ったという。
このぶつかり稽古中に時太山は倒れ、兄弟子たちは水をかけたが反応はなく、時太山はそのまま二時間近く放置された。
二時間たっても時太山が起き上がらないので、さすがに心配になったのか救急車を呼んだが、時すでに遅かった。
救急隊員によると、救急車が到着したときは既に心肺停止状態だったという。


こうしてつらつらと書いているだけでも怒りを禁じえないが、その悪質性を一つ一つ検証してみよう。
まずは倒れた時太山を二時間近くも放置していたという点である。
手元に詳しい資料がないのでわからないが、救急車を呼んだのは午後二時頃と聞く。
二時頃といえば、朝稽古も終わり、みんなで楽しくちゃんこを食べ終えて、昼寝でもしようかという時間である。
みんなでちゃんこ鍋をつついている間、誰も倒れたままの時太山のことを気にしなかったのだろうか。


その次は、なぜ何度も脱走した時太山を無理やり連れ戻したのかという点だ。
もっともこれは、相撲界では日常茶飯事で、新弟子の脱走事件など珍しくもない。
また、脱走を何度も繰り返した力士がその後大成したという話もよく聞く。
そう考えると、脱走した時太山を連れ戻して説得する理由もわかるが、時太山の場合は入門して僅か三ヶ月で何度も脱走して、明らかに旧態依然の相撲社会には向かない性格とわかっていた。
どうして嫌がる時太山を無理やり連れ戻したのか?
それだけ時太山に期待をしていたから?
もちろん、それもあるだろう。
なにしろ弱冠17歳にして110キロを超える立派な体、性格に少々問題があっても師匠が期待をかける気持ちもよくわかる。
入門僅か三ヶ月で四股名を与えているのだから、期待の大きさが窺える。
だが、それだけではないようだ。
各相撲部屋には相撲協会から幕下以下の力士一人当たりに対し養成費が出る。
この養成費が部屋にとって大きな収入になるのだ。
部屋にとってみれば力士が一人増えれば食費などがかさむと思われるが、実際にはちゃんこ鍋で一人増えても、食費が一人分増えるわけではない。
人数が増えれば増えるほど、一人当たりの食費は少なくなるのだ。
ましてや光熱費などはほとんど変わらない。
もちろん、部屋代も大部屋で寝る分には一人増えても一緒。
その上、給料を払う必要もないので、ちゃんこ番など力士たちをタダ働きさせて養成費を貰っているようなものだ。
だから「コイツはダメだ」というような力士に対しても簡単にクビは切らない。
力士を多く抱えていれば、それだけ儲かるのだ。
そう考えると、相撲社会には馴染まないと思われた時太山を何度も連れ戻したことも合点がいく。


次は、言うまでもなく「かわいがり」の実情だ。
「かわいがり」は相撲社会で頻繁に起きていて、「力士として強くなるには必要」という意見と「大相撲の旧態依然体質」という意見とに真っ二つに割れるが、ここではその是非を問わない。
問題は、ビール瓶や金属バットで殴ることが「かわいがり」に相当するかということだ。
「かわいがり」に竹刀や、酷い場合には角材を使用することは聞いたことがあるが、ビール瓶や金属バットを使うなど前代未聞だ。
しかも時津風親方がビール瓶で殴ったのは夕食後のことであり、とても稽古での出来事とは思えない。
そして兄弟子たちが「かわいがり」に金属バットを用いるなど、言語道断だ。
金属バットで簡単に人を殺せることぐらい、小学生でも知ってる。
兄弟子たちはそんな意識すら欠落していたのだろうか。
「無理ヘンにゲンコツと書いて兄弟子と読む」とは相撲界でよく言われることだが、人を死に追いやる感覚すら麻痺していたのか。


さっきは「かわいがり」についてその是非を問わない、と書いたが、やはり相撲の稽古に竹刀や角材は不必要だろう。
なぜなら、相撲のルールでは竹刀や角材の使用は認められていないからだ。
相撲が強くなるためには、相撲の稽古をすればいい。
もちろん、基礎体力トレーニングや筋力トレーニングなどは別であるが。
竹刀や角材を使わなければ強い力士を育てられないのならば、即刻相撲指導者の地位を返上するべきだ。
当然、ビール瓶や金属バットの使用など問題外である。


そしてもっとも悪質なのが、時太山死去後の、時津風部屋の対応である。
時太山が死んだ二日後、時津風親方はインタビューでこう言い放った。
「(稽古が厳しすぎたのではないかという問いに対して)決してそんなことはない。通常の稽古で起きた事故。弟子は親方にとって我が子も同然で、そんな子供を死なせるわけがない」
と語っていた。
たしかにその通りであり、親方が弟子を死なせようとするわけがないのだが、このとき僕は重大なことを見落としていた。
時津風親方にとって「我が子も同然」なはずの弟子が死んだにもかかわらず、時津風親方は身の潔白を延々と語っていただけなのである。
時津風親方にとって「我が子」が死んだのなら、そんな保身よりもまず「預かった子供を死なせてしまった遺族に対する謝罪」と、「我が子同然の弟子を死なせてしまった悔しさと責任」を語るはずである。
つまり、時津風親方は我が子同然の弟子を死なせたことに対して、なんの責任も後悔の念も感じていなかったことになる。


さらに時津風親方の悪あがきは続く。
なんと時津風親方時太山の遺族に対し、「遺体はこちらで取り仕切りますから」と言ったという。
遺体を遺族に引き渡す前に、時津風部屋で火葬するというのだ。
恐らくリンチを隠蔽する工作だろうが、法治国家の日本でこんな発想をする人物がいることに驚かされる。


いくら親方にとって弟子が我が子とはいえ、遺体の引き取り先はどう考えても実の親及び親族である。
それを勝手に他人の遺体を焼いてしまうなんて、独裁者が拷問の事実を隠蔽するために行うことに等しい。
時津風親方にはそんな常識もなかったのだろうか。
さすがに遺族も納得できず、息子と逢わせて欲しいと願い出たところ、それならと時太山の遺体を遺族の住む新潟に送りつけたのだという。
まるで物でも運ぶようなものだ。


そして時津風部屋の力士が警察で事情聴取されたとき、「ビール瓶で殴ったことは言うな」と弟子に口裏あわせをしたという。
まるで神戸市の私立高校でのイジメ自殺で、犯人の生徒らが口裏あわせをしたことと同じレベルだ。
高校では生徒間でやっていたことを、相撲部屋では「先生」たる親方がイジメッ子高校生並みのことをしていたのである。
相撲部屋とは、先生がイジメの陣頭指揮をする教室なのか。


結局はこの遺族の動きにより、愛知県警も事件の全貌に対して動き始めた。
遺族の行動がなければ、この事件は闇に葬り去られただろう。
時太山の遺体は、リンチの跡によって見るも無残な姿になっていた。
いかに激しい稽古でも、こんな姿になることはないだろう、遺族はそう思った。
そこで遺族は愛知県警に再捜査の依頼をしたわけだ。
この事件の捜査が進む中、日本では朝青龍問題が吹き荒れていた。
しかし相撲協会では愛知県警の動きをキャッチし、これは朝青龍問題どころではないと、騒然となっていたという。
だが、協会はなんの手も打たず、警察の捜査にあなた任せという感が漂っている。


今日、時太山の父親が、わざわざ新潟から東京に出てきて記者会見を行った。
理由は、息子の事件は忘れたい出来事なのに、ここ数日の報道で急激に取材が増えたので、合同記者会見をやるので個別取材はやめてもらいたい、という趣旨だった。
父親は、記者団の質問に淡々と答え、そして息子が死んだ当日のことは、時津風親方とどんな会話がされたのか、ほとんど憶えていないという。
当然だろう。
いきなり我が子が死んだと知らされて、平静でいられる親がどれほどいようか。
そして父親は時天山が脱走して帰ってきたとき、もう少し頑張れ、と説得したという。
このとき時天山は、イジメのことは一切喋らなかったらしい。
父親は、もしこのときに、もう少し頑張れ、なんて言わなければこんなことは起こらなかった、と自責の念を強く持っただろう。
この父親にはなんの罪もないのだが、自分は我が子を見殺しにしてしまった、と罪の意識にさいなまれていると思われる記者会見だった。
この父親に対し、時津風親方相撲協会はどう感じたのだろうか。


この一年、日本相撲協会はスキャンダルにまみれっぱなしであった。
週刊現代による朝青龍八百長大スクープに対して、協会は裁判による全面対決姿勢を示した。
ここまでは立派だったが、朝青龍と新横綱になった白鵬(当時は大関)による300万円八百長テープが公開されると、協会は途端に沈黙。
臭い物には蓋とでも言わんばかりに、この問題に対して一切の口を閉じた。
全国ネットでのテレビでもこの話題は封印され、相撲協会からテレビ局に対して圧力がかかったとしか思えない。


そして8月にはケガを理由に地方巡業を欠場した朝青龍が、母国モンゴルでサッカーに興じていたことが発覚。
協会は二場所出場停止処分という厳しい裁決を出したが、精神的ダメージを患ったはずの朝青龍母国モンゴルでエンジョイ。


相撲協会とは、驚くほどの村社会なのだろう。
相撲協会を運営しているのは、相撲ばかりやってきた人たちである。
多くの人は中学卒業後に角界に身を投じ、そのまま力士から親方、理事になった人たちだ。
中には大学や社会人を経て力士になった人もいるが、やはり旧態依然の相撲部の影響は大きい。
そこには一般社会からはかけ離れた感覚が存在する。
一般社会の常識が、角界では通用しないのだ。
だから今回のような、一般社会では通用しないスキャンダルが起きる。
相撲協会を解体しろとは言わないが、一度大手術を行って、もっと外部の血を輸血すべきである。


はっきり言って、今の日本相撲協会には公益法人たる資格はない。
伝統を引き継ぐのは結構だが、今の協会は悪しき伝統ばかり引き継いでいるのではないか。


このままの日本相撲協会では、日本の国技たる相撲をただ衰退に追い込むのみである。